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『15年、一度も火を消さなかった僕が「今」日本を離れる理由。マイルで手に入れた、家族との“空白”の時間』

朝の光が降り注ぐ羽田空港の国際線搭乗ゲート前。コックコートではなく、洗練されたアロハシャツを纏った知的な日本人シェフ(36歳、眼鏡着用)が、2歳の娘と手を繋ぎ、滑走路に駐機するJALの機体を静かに見つめている。足元にはステッカーの貼られたシルバーのリモワ。背後には、これまでの喧騒を忘れさせるような「空白」を感じさせる、透明感のある空港の景色。15年の重圧を脱ぎ捨て、家族との新しい旅へと踏み出す決意の瞬間。
目次

1. 導入:東京の厨房で、僕が「火」を灯し続けた15年の重み

東京に店を構えてから、ちょうど15年が経ちました。

僕の毎日は、朝一番にコンロの種火を点けることから始まり、

深夜、最後のお客様を見送って清掃を終えるまで、一度もその火を絶やすことはありませんでした。

定休日であっても、僕の頭の中のコンロは常に燃え盛っていました。

明日の仕入れ、原価率の計算、そして爆速でポイントをマイルへと変換する決済ルートの構築。

経営者にとって『止まること』は『枯れること』と同義であり、常に何かを生産し、何かを最適化していなければ、自分と家族の未来は守れないと信じ切っていたからです。

しかし2026年、僕は初めてその火を完全に消し、日本を離れる決断をしました。

行き先は、ハワイ。手元にあるのは、これまで必死に積み上げてきたマイル。

そして、人生で一度も味わったことのない『空白の時間』という名の、最も贅沢な食材でした。

2. マイルは「節約」のためではなく、「余白」を買い取るためにあった

「これまでの僕にとって、マイル修行は一種の武装でした。」

いかに効率よく、いかに低コストでステータスを手に入れるか。

それは厨房でのオペレーションと同じく、無駄を削ぎ落とす「ゲーム」でした。

しかし、今回のハワイへのフライトは、僕に全く別の景色を見せました。

羽田のラウンジに滑り込んだ瞬間、いつもなら真っ先にラップトップを開き、最新の経済ニュースやポイントの変動をチェックするはずの僕が、ふと手を止めたのです。

目の前には、窓の外を飛ぶ飛行機を見て無邪気に歓声を上げる小さな娘。

そして、その横で穏やかに微笑む妻の姿がありました。

その時、理解しました。僕が15年かけて磨き上げてきた決済ルートも、修行で手に入れた上級会員の資格も、すべてはこの瞬間の「ノイズのない空白」を手に入れるための伏線だったのだと。

何かに追われることなく、ただ家族と同じ方向を向いて座る。

マイルが僕にくれた真の価値は、格安の航空券ではなく、僕の人生から「焦燥感」を消し去るための特効薬だったのです。

3. カカアコの壁画の下で気づいた、料理人としての「真のミザンプラス」

ハワイでの滞在は、僕の「プロとしての価値観」を根本から揺さぶりました。

これまでの僕なら、現地のレストランを何軒もハシゴし、盛り付けや味付けのアイデアを必死にメモし、ブログのネタを「収穫」することに躍起になっていたでしょう。しかし、今回は違いました。

カカアコの巨大な壁画の前で、娘が動かなくなるまで一緒に立ち止まる。

マノアの深い霧の中で、雨が上がるのをただ待つ。

「何もしない」という、効率至上主義だった僕にとって最も恐ろしかった時間が、これほどまでに豊かな「滋味」を自分の中に蓄えてくれるとは思いもしませんでした。

ミザンプラス(下準備)とは、単に食材を切っておくことではない。

次に最高の火を入れるために、自分という器を一度空っぽにして、新しい感性を受け入れる準備を整えることなのだと、ハワイの風が教えてくれました。

4. SFCの変質とJGCへの軸足移転。それは「自由」を選ぶための経営判断

「15年愛した『定番レシピ』を書き換える時が来ました。」

先日発表されたANAのSFCにおける衝撃的なルール変更。

年間300万円の決済をしなければラウンジの権利すら失われるという通告は、僕にとって「航空会社への隷属」を迫る宣戦布告に聞こえました。

経営者として、僕は決断しました。

メインの翼をJAL(JGC)へと完全に移転させることを。

これは単なるポイント還元率の損得勘定ではありません。

特定の数字に縛られ、家族との時間を削ってまで「決済額」を追い求めることは、僕がハワイで手に入れた『空白の美学』に反するからです。

JALが提示してくれた「一生モノの、適度な距離感」こそが、これからの僕たちが求める「洗練された旅」の形に合致していると確信したのです。

5. 結論:東京の厨房へ戻る。新しい火を灯すために。

日本に戻り、再び東京の厨房に立ちました。コンロの火を点ける音は、15年前と変わりません。

でも、今の僕が点ける火は、以前のような焦燥感からくるものではありません。

ハワイで手に入れた『空白』という最高の調味料が、僕の料理と人生に、かつてない奥行きを与えてくれました。

一度火を消すことは、終わりではない。それは、より澄んだ、より力強い火を灯すための、不可欠な工程だったのです。

これからは、単なる効率の追求を超えて、マイルやポイ活が僕たちの人生をどう『豊か』に変えてくれるのか。

そんな、血の通ったレシピを皆さんにお届けしていきます。

次のフライトの準備は、もうできています。

厨房でお待ちしています。

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この記事を書いた人

マイラー歴25年。ネット予約がない時代からマイルを貯め続け、これまで家族と共に数々の無料旅行を実現してきました。時代の変化に合わせた「本当に賢いマイル術」と、旅を豊かにするエッセンスをベテランの視点でお届けします。

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